食中毒とは、有害・有毒な微生物や化学物質等毒素を含む飲食物、水を人が口から摂取した結果として起こる下痢や嘔吐や発熱などの疾病(中毒)の総称です。
食中毒菌の種類や症状、そして予防と対策方法を知って下さい。
食中毒予防の3原則
「付けない」 原材料は清潔なものを使用し、施設・設備は清潔に保ち、調理・加工は清潔な器具を使用し、清潔な従事者により食品を取り扱う。
「増やさない」 調理・加工は迅速に行う。冷却等をして細菌の活動を抑える。
「殺す」 加熱等をして、細菌を死滅させる。
食中毒を引き起こす細菌一覧
菌名 | 特徴 | 症状 | 予防法 | 原因例 | 有効な殺菌剤 |
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サルモネラ菌 | 自然界に広く分布し、家畜・ペットも菌を保有している 幼児や高齢者は二次感染することもある 低温や乾燥に強い |
感染から半日から2日後に吐き気や腹痛 38℃前後の発熱と下痢を繰り返す 症状は1〜4日で回復 |
食肉や卵は十分加熱する 調理器具を良く洗い、殺菌する ペットに触れた後は手洗をする |
食肉 卵 ペット |
殺菌剤全般 |
腸炎ビブリオ | 海水・海中の泥に潜み、夏に集中発生する 熱に弱く100℃では数分で死滅。5℃以下では増殖しない 塩水を好むが真水には弱い |
感染から8〜24時間以内に発症 激しい腹痛と下痢が続き、脱水症状を起こす 抗生物質の投与で2〜3日で回復 |
調理の際は真水でよく洗う 調理器具を良く洗い、殺菌する 魚介類はできるだけ加熱して食べる |
魚介類 二次感染 |
殺菌剤全般 |
出血性大腸菌O157 | ベロ毒素という強力な毒素をつくる 大腸をただれさせ、血管壁を破壊し、出血をおこす 脳や神経にも作用し、短期間で死亡することもある |
感染から2〜10日で発症 激しい腹痛・下痢が続き血便が出る 尿毒症になりケイレンや意識障害をひきおこす |
食肉を扱った調理器具は熱湯殺菌する 食材は良く洗い、十分加熱する 手洗を十分に行う |
食肉 井戸水 |
殺菌剤全般 |
黄色ブドウ球菌 | 自然界に広く分布し、人の皮膚やのどなどにも生息 汚染された食品の中で毒素をつくるとき食中毒が発生 熱や乾燥に強い |
感染から3時間以内に発症 吐き気や下痢をもよおす ほぼ24時間以内に回復 |
手に傷や荒れがある人は調理をしない 調理器具を良く洗い、殺菌する 室温で長期保存をしない |
調理された食品 | 殺菌剤全般 |
カンピロバクター菌 | 牛や鶏などの腸におり、食品や飲料水を通して感染する 少量で感染し、ペットとの接触感染や人との直接感染でも発症 空気にさらされると死滅するが、10℃以下では行き続ける |
感染から発症まで2〜7日かかる 発熱・めまい・筋肉痛がおこり、次に吐き気・下痢になる 数時間〜2日で回復 |
食肉は十分加熱する 調理器具を良く洗い、殺菌する 手洗を十分に行う |
食肉 飲料水 ペット |
殺菌剤全般 |
ボツリヌス菌 | 缶詰・真空パックなどの酸素が含まれない食品中で増殖 熱や消毒薬にも強く、致死率も高い 食品だけでなく、8ヶ月以下の乳児の腸でも増殖 |
感染から8〜36時間後に発症 発熱はなく、吐き気・便秘・脱力感・めまいがおこる 呼吸困難などを引き起こし死に至る場合もある |
pHや食塩などを添加し菌の増殖を抑える できる限り十分な加熱処理をする 保存中にバター臭のするものは廃棄する |
魚の燻製 缶詰 |
次亜塩素酸ナトリウム 過酸化水素 過酢酸 二酸化塩素 |
ウェルシュ菌 | 熱に非常に強く1時間煮沸しても菌が死なない 酸素がないところで増殖する 集団食中毒の原因になりやすい |
感染から約12時間で発症 下痢をおこすが腹痛はあまり重くない 1〜2日で回復 |
調理済み食品を室温で放置しない 冷凍肉は完全に解凍してから調理する 調理済み食品は冷蔵庫で保存する |
加熱調理食品 | 次亜塩素酸ナトリウム 過酸化水素 過酢酸 二酸化塩素 |
セレウス菌 | 症状に応じて、嘔吐型と下痢型の2種類がある 熱に強く、調理過程ではなかなか死滅しない |
嘔吐型は1〜5時間で激しい吐き気をもよおす 下痢型は8〜16時間で吐き気をもよおし、下痢が続く |
調理した食品はできる限り保存しない 大量に作った焼飯などを翌日再調理しない |
嘔吐型 米飯 下痢型 スープ等 |
次亜塩素酸ナトリウム 二酸化塩素 過酸化水素 |
ナグビブリオ菌 | 河川や海水に生息し、下水等の汚染がひどい所に多い コレラ菌と同じく、人の腸内で増殖する 魚介類の中でもエビ・カニ・カキからの感染が多い |
感染から5〜12時間で発症 下痢と急激な胃腸炎とを引き起こす 嘔吐をともない38℃前後の発熱を伴う場合もある |
魚介類の流通は4から8℃の低温に保つ 魚介類はできるだけ加熱調理をする 輸入魚介類は完全に解凍してから加熱する |
魚介類 輸入エビ等 |
次亜塩素酸ナトリウム 過酸化水素 過酢酸 二酸化塩素 |
エルシニア菌 | 家畜が保菌し、汚染された食肉を通じて感染 熱に弱いが、寒さに強く冷蔵庫の中でも増殖する 井戸水から感染もある |
虫垂炎のような激しい腹痛を引き起こす 2歳以下の場合下痢と共に発熱がみられる 発疹性の食中毒は、これの可能性が高い |
食肉は十分加熱して食べる 食肉を保存する場合は冷凍保存する 調理器具を良く洗い、殺菌する |
食肉 井戸水 |
次亜塩素酸ナトリウム 過酸化水素 過酢酸 二酸化塩素 |
ノロウイルス | 少量で感染し、発症率が非常に高い 感染力が非常に強く、人の手指などを介して人から人へ感染する 空気が乾燥していると空気感染することがある |
感染から1〜2日で発症 吐き気・下痢・腹痛を引き起こす 38℃前後の発熱と脱水症状をおこす場合もある |
手洗を十分に行う 調理器具を良く洗い、殺菌する 2枚貝の生食を避ける |
貝類 二次感染 |
次亜塩素酸ナトリウム 二酸化塩素 過酸化水素 |
殺菌消毒剤について
アルコール製剤…「アルコール」「エタノール」「エチルアルコール」
・アルコールの殺菌最適濃度は70〜80%です。対象物が水で濡れていると、効果が激減します。
・芽胞(がほう)を除くすべての細菌に有効です。胞子を形成する細菌に対しても、栄養型の状態であれば効果を示しますが、胞子を形成した芽胞の状態であれば殺菌力はありません。
・殺菌作用が主な目的です。あらかじめアルカリ性の洗浄剤などで十分に汚れを取り除いてから使用することが大切です。
次亜塩素酸ナトリウム…家庭用に販売されている塩素系漂白剤・殺菌剤「ハイター」「ブリーチ」「カビキラー」
注意「まぜるな危険」酸性タイプの製品と一緒に使う(まぜる)と有害な塩素ガスが発生。
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過酸化水素剤、私がお勧めする殺菌消毒剤です。